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「®」「©」「™」 ビジネス戦略に貢献するのは、どのマーク?

企業名・ブランド名などの横に「®」「©」「™」のマークを目にすることがある。これは何のためについているのか? 商標登録や著作権に結びつくことは知っているかもしれない。それぞれの役割を紐解いていくと、ただマネされないためという話だけではなく、企業のビジネス戦略に関わるほど、重要な意味・役割を持っているのがわかってくる。

■まずは各マークの意味・役割を紹介

「®マーク」​
Registered Trademark(登録商標)。アメリカの商標法で規定されたものである。登録済み商標において、もし損害賠償を請求することがあったときに、®がついていなければ、訴訟を起こすことができないケースもある。日本では、商標法により商標登録表示が求められているが、®マーク自体の表示は求められていないため、つけていない権利者も多い。

「©マーク」
Copyright(著作権)。著作権には大きく2つの国際条約が定められており、それぞれ著作権の認定及び主張方法が変わる。1つは「万国著作権条約」。この条約に加入している国では、©をつけることで著作権が認められ、つけていなければ主張できない。もう1つは「ベルヌ条約」。この条約では、権利が自動的に発生する“無法式主義”を採用しており、手続きをしなくても著作権が発生する。日本は双方の条約に加入しており、そのうち「ベルヌ条約」が優先適用されているので、©をつけなくても、創作した瞬間から著作権が守られている。

「™マーク」​
Trademark(商標)。法律的な縛りは一切なく、規定も罰則もない。登録していない商標につけることができるので、出願前・出願中の商標につけることで、登録までの“自己主張”はできる。

■消費者にとってメリットはあるのか?

「®」「©」「™」のついたロゴマークを見た消費者は、どう感じるのか? 「偽物ではない」「ついていれば安心」という印象をもつかもしれないが、マークの具体的な意味するところを理解しているとまた違う視点を得られるはず。

店頭などで商品を手に取れば、先述のもの以外でも「JAS」「JIS」「eco」「トクホ」など、いろいろなマークが眼に入る。これらのマークがついているものと、そうではないものとでは、ついている商品に優位性を感じてしまいがちだ。何を示しているか知らなくても安心感を得られる、そんな消費者を納得させる要素として、企業は商品にマークをつけることもある。

■大きな利益を生み出すマークは?

消費者にとってはメリットの少ないマークだが、ビジネス戦略上では、大きな力を発揮するものがある。まず「™」は、先で解説したように、効力を発しないため、利用価値は低い。次に「©」は、著作物を守る意味では重要なのだが、新しいビジネスへの発展性は期待できない。

利益を生み出すのは、商標登録である。身のまわりで、「®」のついているものを探してみてほしい。一般的な商品にもついているが、“素材”として用いられる商品に多くついていることがわかる。たとえば、合成皮革の「クラリーノ」、半導体素子メーカーの「インテル」、調理器具の加工技術「テフロン」など。これら®のついているものは、消費者向けの商品ではなく、加工や組み込みなどに応用されるもの。つまり“素材”として販売されている。優れた素材を開発すれば、それを使いたいというメーカーが現れる。素材なので応用範囲は広く、さまざまなメーカーが使用許可を求めてくる。商標を登録していれば、使用するメーカーは開発者にライセンス料を払わなければならない。それが、ライセンス料×生産個数分というから驚きだ。

すなわち、その商品が売れ続ければ、ライセンス料は半永久的に入ってくる。しかし、商標を登録しておらず、その商品名が一般名称化してしまうと、ライセンス料が入らなくなる可能性があり、社会に浸透している名称なので独占できないと判断されてしまうことがある。つまり、単に「我が社の商品だ」と主張するためだけのものではなく、ビジネスを発展させるために不可欠なものなのである。消費者にとっては違いのわかりにくいマークかもしれないが、ビジネスを成功させるためには、しっかりと認識しておく必要があるのだ。

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