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想像以上に枕は汚い!? 質の高い眠りのための寝具ケア

「最低限やっておきたい、寝汗にまみれた夏の寝具ケア方法」から一歩踏み込んだ、「できるだけやっておきたい、気持ちよく眠るための寝具ケア方法」をご説明します。現実的な範囲で効果的に寝具環境を快適化して行きましょう。

■「最低限のケア」から、一歩踏み込んだケアへ

最低限やっておきたい寝汗にまみれた夏の寝具ケア方法」でご説明した、寝汗でじっとり濡れた布団の最低限のケアは文字通りの「最低限」。今回は、そこから一歩踏み込んだ、でもできるだけ手間やお金のかからない寝具ケアについてお話ししたいと思います。

理想は気持ちよいホテルや旅館の寝具
理想は気持ちよいホテルや旅館の寝具

■布団を干すなら、快晴かつ湿度50%以下の日に

日光はいつでもどこでも無料! つまりもっとも「お金のかからない寝具ケア方法」というなら、なるべくこまめに「天日にさらす」ことになります。シーツや肌掛けなら1時間、敷き布団なら表と裏合わせて5時間ほど干すのが時間的な目安。とにかく、肌に触れる部分をしっかり「乾燥させる」ようにします。

ただこのとき、「直射日光」に当てるかどうかには、それほど執心しなくても良いです。直射日光の熱や紫外線による乾燥や殺菌など正の効果が期待できる反面、寝具の側生地やカバーを傷める(場合によっては変色させる)など負の効果も否定できないからです。

また「干す」なら、敷き布団だけでなく、掛け布団や毛布、シーツやベッドパッド、枕やベッドカバーなど、いろいろな付帯品も忘れずに。全て同時ではなくてもいいので、天気や予定や干しスペースと相談しながら、順繰りに干したいところです。

家族数が多い、特別に汗をかく人がいるなどの事情もありますので、できれば各々週に1回から2週に1回くらい「干せるといいな」くらいの大らかな気持ちで心がけておけると良いでしょう。

ちなみに、起き抜けの布団内部の湿度は80%近くもあるものですが、なかでも特に湿気が高くてダニ生息数も多いのは「頭」側になります。頭や首にかく汗や、口や鼻からの呼気で湿りやすいからです。

つまり布団にもまして、「枕」の乾燥、清潔に注意しなければならないということを、意識しておく必要があるということです。

■「枕」は想像以上に濡れ、汚れている!

枕には、必ずカバーをかけ、そのカバーをできるだけ頻繁に洗濯するなど、いつも清潔を保てるようにしましょう。とはいえ「枕カバーだけなら、こまめに替えている」という方は少なくないと思います。

ただ、首や後頭部にかく寝汗、呼気による湿気や無意識に垂れたヨダレといった水分は、枕の詰め物にまで及んでいくものですから、知らず知らずのうちにビックリするほど汚れていることが多いのです。

枕カバーはマストアイテム
枕カバーはマストアイテム

「枕の本体」を一度でも手洗いなどしたことのある人なら、その洗い水の汚れ具合(コーヒーのような黒茶色!)に驚いた経験があるのではないでしょうか。それだけ枕を「洗濯」したときの洗い上がりの気持ちよさには、えも言われぬものがあります。

ただし、手持ちの枕を洗う前には「洗濯絵表示」をしっかり確認してください。残念ながら「洗えない枕」もたくさん存在します。もしこれから新しく枕を購入するなら「洗濯機での洗濯」が可能であるものを選ぶことをお勧めします。手洗いのみ可よりもハードル低く、気軽に洗えるからです。

参考までに、「洗える枕」に多い詰め物には、

・ポリエステルわた ・ビーズ ・パイプ ・ミニボール

などがあります。昔ながらの「ソバ殻」は基本的に洗えません。また、人気の高い「低反発ウレタン」の多くも洗えないことが多いです。注意して下さい。

また一般的に、枕を洗濯機で洗濯(丸洗い)する際の注意点としては、

・必ず洗濯ネットに入れて洗うこと(詰め物が飛び出した際のリスクヘッジ)
・洗剤は「液体の中性洗剤」を使用すること(溶け残りを避け、詰め物の変質リスクを下げる)
・柔軟剤は使わないこと(ニオイが強く残ると寝にくい他、詰め物の変質リスクを下げる)
・洗濯機は「ドライモード」「手洗いコース」などの水量が多くて水流の弱いコースで稼働させること(変形予防)

などがあります。ぜひ覚えておいて下さい。

最近は「洗える枕」にも高価なものが多いので、洗濯によって詰め物など不必要に傷めないよう、枕を買ったら取扱説明書を熟読し、ケアの方法をしっかり確認しておいて下さい。

■干せない日が続くストレスには、布団乾燥機がうってつけ

梅雨や台風、秋雨や曇天、雪など、布団を干したくても干せない天候が続いてしまうことがあります。また、共働きなどのライフスタイルによって、長期にわたって干しようのない状況も多々あります。

また畳んだり(押し入れなどに)上げたりすることで、湿り具合を実感しやすい布団と異なり、ベッドで寝ている場合、イマイチ「湿っている自覚」自体なかったりします。

洗濯物の部屋干しを寝室で行うのは御法度です(湿気を布団が吸ってしまいます)、要注意!
洗濯物の部屋干しを寝室で行うのは御法度です(湿気を布団が吸ってしまいます)、要注意!

こういったシチュエーションにぴったりの家電が「布団乾燥機」です。布団乾燥機は大型のドライヤーのようなしくみで布団内に温風を送り、内部温度をダニの死滅する50度以上にまで上げた状態で1~2時間ほどタイマー運転してくれます。何十年も前からある家電なので、すでに愛用しているという方も多いと思います。

ただ「布団乾燥機」の従来品は、温風で膨らむマット(布袋)を布団間に挟んだり敷き込むなどのちょっとした手間を必要とし、家にあっても余り使わない(いささか面倒くさい)ケースも多かったのでは? と推察します。

しかしこのマットを必要としないタイプの布団乾燥機が、昨年(2014年)あたりから登場し、その使い勝手の良さが利用者の間で話題になっています。本体サイズも小さくなっており、邪魔になりません。

■布団乾燥機を使うときの注意点

とはいえ、布団乾燥機で布団を乾燥させる際、マットがあってもなくても「布団内部を一度、温風で高温にする」というのは同じです。そのため高温の温風の後に送風し、熱を逃がす「夏モード」などを選択しても、暑い夏場に布団乾燥機をかけることは、いささか躊躇されがちなのではないかと思います。

また布団内の湿気は逃がしたものの、部屋の中に移った湿気をどう処理するか? といった問題もあり、「布団乾燥機」を稼働している最中の室内換気ないしはエアコン稼働、除湿機の稼働など布団乾燥機を使うことで就寝環境が悪化しないよう併せて考慮する必要があります。

アレルギーを起こすダニ駆除目的で布団乾燥機を使用するような場合にも、それだけでは対策として不十分です(布団の天日干しも同様)ので注意が必要です。布団乾燥後、しかるべき掃除機などでダニの死骸やハウスダストを吸引、除去するところまで、併せて行う必要があります。

■「寝具ケア」に一発逆転はなし

布団の強力乾燥およびダニ死滅のため、「真夏のマイカー内に布団を運んで熱する」というライフハックが先日テレビ番組で紹介されており、なるほどと膝を打ちました。

ただ、玄関からクルマまでの距離の短い一戸建ての住まいなどなら良いのですが、マンション等の集合住宅(かつ高層階)では、そう気軽に行えず、残念。布団を抱えて階段を下りたり、エレベーターに乗ったり、機械式駐車場からクルマを下ろして布団を入れて別の駐車スペースにわざわざ移動しなければならないので……。そもそも、「自家用車を持っていない」わが家のようなケースもあります。

真夏の車内温度は50度超えが普通……
真夏の車内温度は50度超えが普通……

これは布団ケアに限らないのですが、「強力な一発逆転!」を狙う方法には一考が必要です。聞いて直ぐ実行するならば別ですが、なまじ「一発逆転・速攻性の高い方法」を知ってしまうことにより、「別に今やらなくても良い、いずれやればいい(いつだってできるから)」という先送りの言い訳が生じやすいからです。

やはり大切なのは、

シーツを洗う、布団カバーや枕カバーを洗濯する、干す、といったハードルの低い(しかし、快適性を高める効果は抜群である)ケアを、なるべく「高頻度」に行うこと。

布団乾燥機やエアコン、扇風機などの手近な家電を、これもなるべく「高頻度」に稼働させ、寝具の湿気取りに取りかかること。除湿マットなど併用するのも効果的。

布団やベッドの表面に空気中から降り積もったハウスダスト(花粉など含む)や、布団やベッド内部に生息していたものの死滅したダニの死骸や糞などのハウスダスト(カビなども含む)を、布団掃除機や専用ヘッドなど活用して、これもなるべく「高頻度」に吸引すること。

こういった地道なケアを、いちいち徹底的にではなく、ゆるく「繰り返し」「何回も」行うことなのです。

毎日欠かさず行う必要もありません。でも、できるだけ、これらの地味なケアの頻度を「今よりも少しだけ高めて」みることを試してみてください。

寝室・寝具は一生の3分の1もの時間を過ごす空間です。この場の質を高めること、すなわち「クオリティ・オブ・ライフ」の向上と言って、決して過言ではないはずなのですから。

(執筆:藤原 千秋)

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