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なぜ、貨物船の下半分は赤く塗装されている?

貨物船などの大きな船は、下半分が赤く塗装されていることが多いです。このデザイン、船が進む速度の向上に関わっているそうです。一体、どのような仕組みで、塗装がスピードアップに貢献するのでしょうか。

■船底を赤く塗ることで快適な航海ができるようになる

海を進む大きな貨物船は、下半分を赤く塗装したツートンカラーのものが多く、私たちも貨物船に共通するデザインとして認識していると思います。しかしなぜ、赤い塗装がこれほどまでに普及しているのでしょうか。

船の塗装にはまず、船体をコーティングしてサビや腐食を防ぐ目的があります。しかし塗装に求められるものがそれだけであれば、赤色に限定する必要はありません。

海に浸かっている船底には、停まっているときに海中のフジツボが寄ってきて付着してしまいます。そのフジツボを寄せ付けないために、あの赤い塗料が用いられているのです。

■赤い塗料はフジツボが嫌う成分

フジツボ
船底にフジツボがついてしまうと、海を進むときに抵抗が生まれて速度が落ちる

赤い塗料の成分は「亜酸化銅」。この亜酸化銅はフジツボが嫌う成分であり、海中に溶け出すことで、船底への付着を防ぎます。フジツボが船底に付着しなければ、船が進むときに余計な抵抗を生むことはありません。これにより、船の速度が落ちることなく、快適な航海を実現するのです。

この亜酸化銅の塗料は、海中に溶け出していくうちに、徐々に失われていきます。そのため、定期的な塗り直しも必要です。

一見すると、なぜそうなっているかわからないデザインやカラーリングには、今回お話した船のように、理由があることがあります。身の回りを見渡して、気になるものがあれば、調べてみるとおもしろい発見が得られるかもしれません。

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