時事

“ネット選挙”運動が解禁! 有権者には何ができて、何ができないの?

7月21日(日)の投票日に向け、いよいよ参議院選挙がラストスパートに突入。公職選挙法が改正され、インターネットの利用が解禁となった、エポックメイキングな選挙となりました。投票前に、あらためてインターネット選挙運動(以下ネット選挙)についておさらいしましょう。

■Facebookなどを中心に、ネットをフル活用した選挙運動が展開される

投票日が近づくにつれ、候補者・政党がウェブサイトやSNSを活用し、積極的に情報発信する様子が目立っています。有権者と対話している様子をアップしたり、その日に遊説する時間と場所のリストを明示したり、街頭演説の様子を中継するなど、ネットをフル活用してアピール。例えば自由民主党がキャッチコピーを入れた画像を用いて、ヴィジュアルで考え方が伝わるページ作りをしているなどFacebookの活用も進んでいます。民主党はFacebookで党首らの遊説先や訪問先を伝えたり、議員や参院選の候補者とツーショット写真が撮れるアプリなどの紹介も併せて行っています。アプリと言えば公明党の「公明アプリ」。日本の政党で初めての公式アプリとなるこちらは、政策等がわかりやすく伝わる仕組みになっています。

意外と言っては失礼ですが、柔らかいイメージで勝負しているのが日本共産党。YouTubeを使ったユニークなCMや、イラストを使った親しみやすいチラシなどを配信しており、かなりコンセプトを練り上げてネット選挙に臨んでいるのが伝わってきますね。みんなの党は「日刊みん生」というネット番組を毎晩生配信。夜も選挙戦が繰り広げられています。日本維新の会生活の党みどりの風社民党もFacebookページがありますから、投票前に各党のページを覗いて、どこに一票を入れるかをしっかりと考えましょう。

■有権者もインターネットで投票のお願いができるように

今回の“解禁”、実は立候補した側に限ったものではありません。有権者もネット上で「○○さんに投票をお願いします!」と訴えることができるようになったのです。有権者の場合「ウェブサイト等」にカテゴライズされるホームページ、ブログ、SNS、動画共有サービス、動画中継サイトを通した選挙活動が認められています。氏名と電子メール等の連絡先を表示する義務を果たせば、誰もが気軽に候補者を応援することができます。

注意したいのは、電子メールでの選挙運動は禁止されているという点。候補者・政党は認められていますが、有権者の場合は「メールは密室性が高く、誹謗中傷に繋がりやすい」との理由でNGが出ています。ここでいう電子メールとは、SMTP方式と電話番号方式の2種類。前者は一般的な電子メールに使われている仕組み、後者はケータイのショートメールなどと考えればわかりやすいでしょう。

ただし、FacebookなどのSNSにあるメッセージ機能はSMTP方式を取らないので、法律上は「ウェブサイト等」に位置付けられるというややこしい事態が発生します。つまりSNSのメッセージは「電子メール」ではないということとなり、規制の対象外となるのです。国会議員によるネット選挙の協議でも、電子メールとの差について議論が繰り広げられましたが、今回はこの形で進んでいます。

■未成年者の選挙運動やウェブサイトの印刷&配布も禁止

他にも注意したいことがいくつかあります。まずは「未成年者の選挙運動は禁止」だという点。自分のブログで候補者を応援するのはもちろん、動画共有サイトへの投稿も、Facebookのシェアも禁止です。現実世界でも未成年者は選挙活動に参加できないので、こればかりは仕方がありません。ウェブサイトや電子メール等をプリントアウトして配布するのも違反となります。年配の方にアピールする際には紙の方が効果的なことも多いですが、そもそも選挙活動中のチラシ等の配布が制限されていますから、ネットの世界の情報はネットの中で留めるように心がけましょう。選挙期間外の選挙運動もできません。投票日当日は選挙期間には入っていないので、思わず応援してしまわないようにご注意を。

なお、これらのルールを破ると公職選挙法違反などに問われ、禁錮刑や罰金刑などを受けるともに、選挙権及び被選挙権が停止される可能性もあります。罪となればせっかく応援した候補者にかえって迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。気軽にできるネットでの選挙活動ですが、思わぬ落とし穴もあることを忘れないで!
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