時事

「SL銀河」用機関車C58形239号機、40年振りに復活!!

■C58形239号機の生涯

蒸気機関車C58形は、中型の旅客・貨物両用の万能機関車として1938年に誕生し、その後10年間に427両が製造され、もっぱら全国の地方路線で活躍した。

239号機は、1940年6月に製造され、はじめは名古屋に配置されたが、1943年に岩手県三陸の宮古機関区(今はない)に転じ、以来、1972年に廃車となるまで山田線など岩手県の路線で活躍した。その後、1973年より、盛岡市内にある岩手県営運動公園にて静態保存されてきた。
もう二度と動くことがないと思われた公園の展示機関車に奇跡が起こったのは、東日本大震災の後だった。

すでに3両の蒸気機関車を復元して各地で好評を得ていたJR東日本は、4両目の蒸気機関車を復活させて、もっぱら岩手県を中心とした東北でのイベント用に使用し、ローカル線の活性化で地域の復興に寄与することを考えた。

数多くの保存機関車を調査した結果、比較的状態のよかったC58形239号機に白羽の矢が立ったのである。

■C58形239号機、復活への軌跡

2012年10月、県営運動公園でC58形239号機の清掃とお別れ式が行われた。長年にわたって整備や清掃活動に取り組んできた保存会会員により、機関車は綺麗に磨きあげられ再出発に備えた。

機関車は一旦解体されて、さいたま市にある大宮総合車両センターに運び込まれ、いよいよ復元工事が始まった。部品のうち巨大なボイラーは大阪にある専門工場株式会社サッパボイラーで半年以上をかけて修復された。

2013年11月1日、239号機のボイラーが台枠に乗せられ、やっと機関車の形が戻ってきた。
2013年12月12日、ほぼ形が整った機関車の「火入れ式」が神事にのっとり行われた。安全祈願、祝辞の後、点火の儀、投炭の儀があり、ほぼ40年振りに機関車は息を吹き返した。さらに、最終段階の整備があり、12月18日には「吹き込み作業」の様子が報道公開された。

これは、シリンダー内に高圧の蒸気を送り込み、ピストンなどが正常に動作するかの確認をする作業である。蒸気の勢いで、異物を外に吐き出し、シリンダー内も清掃されるという一石二鳥のような工程で、傍から見学する分には大変迫力あるものだ。

■C58形239号機試運転と今後の予定

こうして機関車は自力で走行できるようになり、次に、12月20日に「構内試運転」が行われた。試運転には専用の線路がある。大宮総合車両センター脇から北に向かって鉄道博物館脇まで延びる2km弱の距離を往復するのだ。

当日は生憎の悪天候。首都圏では初雪となる寒さと横殴りのみぞれ混じりの風雪の中、C58は活き活きと取材陣の前を走り抜ける。前進と後進を何度も繰り返し、最高時速は60km。思ったよりも速く驀進した。

JR東日本の担当者によると、「動きも滑らかで、いい感じに仕上がっている」との話だった。
構内試運転は数日行われ、年が明けて2014年1月になると、C58は高崎に移動。上越線(高崎~渋川)および信越本線(高崎~横川)で本線試運転を行う。試運転が順調に推移すれば、やっと盛岡へ戻り、「SL銀河」用客車を牽引して釜石線での試運転や試乗会を経て、晴れて営業運転を開始する段取りになっている。春が待ち遠しい。

<参考記事>
「SL銀河」と復元作業が進む蒸気機関車C58形239号機

<関連リンク>
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