東京都
1 762
【指南623 渡辺道場へようこそ!】

中央大学・渡辺岳夫教授登場

プルデンシャル生命では東北大学、青山学院大学、慶應義塾大学(2015年度~)、中央大学(2016年度~)、立命館大学(2017年度~)の5つの大学において、営業をテーマとした「寄付講座」を開講しています。

文系学生のおよそ7割は営業職に就くといわれています*。しかし、社会に出る前に「営業」に関する知識やスキルを学び、トレーニングを受ける機会は極めて限られており、仕事の魅力と可能性を理解しないままに営業職に就く学生も少なくありません。プルデンシャル生命の現役ライフプランナー、(ライフプランナー出身である)支社長や営業担当役員、その他営業関連の専門家が講師となり、自らのセールス経験に基づいた実践的な講義を行い、将来の日本を担う人材育成という観点で貢献していきたいと願っています。 講座においては、営業に必要なスキル、セールスプロセスといったノウハウだけではなく、営業職の醍醐味や心構え、人間的成長といったソフト面についても体系的に講義します。
さて今週来週は、寄付講座をご担当いただいている中央大学商学部教授 渡辺岳夫さんによる寄稿をお送りします。第一回目は「内発的動機づけとその効果」です。
----------------------------
内発的動機づけとその効果
 
皆さんは何のために営業というお仕事をされていますか?たくさんのお金を稼ぎたいからでしょうか?それともお客様のためになりたいから?営業という仕事をしていると楽しいから、という方もいるかもしれませんね。おそらく、ここに挙げた理由のどれか一つだけが該当するという人は少なく、それらの理由が重なりあって営業という仕事をされている方多いのではないでしょうか?何かのために行動が始発・維持されている状態のことを、心理学上「動機づけ(motivation)」と言いますが、私が担当するシリーズでは、主としてこの動機づけについてお話したいと思います。

皆さんは、内発的動機づけ(intrinsic motivation)という概念をご存知でしょうか?アメリカの美術教師ロバート・ヘンリは、内発的動機づけのことを「高次に機能している状態(a high state of functioning)」または「ただ存在している以上の状態(a more than ordinary moment of existence)」と表現しました。そのうえで、絵を描くことの目的は絵を完成させることではなく、そういった状態、つまり我を忘れて絵を描くことに熱中している状態に到達することであると喝破しました。ヘンリにとって、完成した絵は単なる副産物に過ぎず、明白な外的報酬(金銭や褒め言葉、罰も負の外的報酬とされます)がないにも関わらず、楽しさのあまり熱中し没頭している内発的動機づけの状態に到達することの方が、生徒の教育上圧倒的に重要だったのです。

その行動をなぜするのか?理由があるとすると、それがしたいからしている。そんな心理的状態について研究をし続けてきた、内発的動機づけ研究の大家エドワード・L・デシ博士の言葉を待つまでもなく、内発的動機づけの経験は、それ自体に大きな価値があります。美しい花があればその香りをかぐ。そのことに理由はいらないですよね?太陽が雲間に輝く様を食い入るように眺める際に、なぜそれをするかといった理由を考えるでしょうか?そんなことは何にも考えずに、自然に湧き上がる素晴らしい情感に心を委ねるのではないでしょうか。

デシ博士は、内発的動機づけの経験のない人生は、人生ではないと主張しました。ことほど左様に内発的動機づけの経験それ自体に意義があるとされていますが、その経験の結果として得られるアウトプットにも重要な価値があることが、一連の内発的動機づけ研究によって明らかにされています。すなわち、内発的動機づけは創造性に優れた成果を産み出すと指摘されているのです。

人は子供の頃、好奇心に導かれるままに何か没頭する経験をたくさんします。しかし、多くの人は大人になるにつれ、徐々にそういった没頭経験を喪失していきがちです。実は、内発的動機づけはとても壊れやすいのです。次回は、そのことについて述べてみたいと思います。
更新は3月22日(水)です。

中央大学商学部教授 渡辺岳夫さん プロフィール
1990年 中央大学 商学部 卒業
1997年 中央大学大学院 商学研究科 博士後期課程 単位取得退学
同年  岡山大学 経済学部 専任講師に就任
1999年 岡山大学 経済学部 助教授
2000年 中央大学 商学部 助教授(2007年准教授) 
2005~2007年 ワシントン大学 ビジネス・スクール 客員研究員
2014年 中央大学 商学部 教授 現在に至る
主たる研究テーマ:管理会計システムと組織における人間心理の関係
  • シェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連投稿

投稿一覧を見る

記事をシェア

あとで読む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加