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「卒業おめでとう」大学の准教授が卒業生へのメッセージに込めた、バイト時代の料理長とのエピソードに10万人が感動

新型コロナウイルスの影響で世界中が混乱の中にある昨今。

学校は休校となり、卒業式の中止を余儀なくされているところも少なくありません。

おがっち ☘傾き135度の研究者になりたい(@ogatti21)さんが准教授として勤める大学もその1つでした。

彼は、SNSにあるエピソードとともに「卒業おめでとう」のメッセージを投稿。彼がアルバイトをしていた頃のエピソードを綴ったこの投稿に、注目が集まりました。

そのエピソードとは……。

昔、和食屋でバイトをしていた。不注意傾向の強い僕は、ミスがあまりに多く、店長は僕にクビを通告する予定だったらしい。
そんな僕を拾ってくれたのが当時の料理長。
料理長は僕のために、あらゆる配慮を普通にしてくれた。
揚げ物にはキッチンタイマー、揚げる材料にはチェックリスト・・続く

付け合わせは、順番に入れさえすれば、ミスがない様にしてくれた。
ここまで配慮してもらえれば、さすがに働くことができた。そして、料理長が僕にくれたニックネームが「副料理長」。
そして、料理長は店長にこう言った。

「こいつは真面目やから、工夫さえすれば使えるんや。」・・続く

今から思えば「副料理長」というニックネームや「真面目」を強調するプロセスは、強みを活かすという障害支援の基礎に他ならなかった。そして「工夫さえすれば」は合理的配慮そのもの。
ただ、料理長は厳しかった。サボったら、全力で叱られた。それは、強みを殺すなというメッセージだった。・・続く

以降、全力で働いた。時間のある時は従業員と話したり休憩したりするのではなく、ひたすら店の掃除をした。
そんな姿を料理長は見ていた。態度では分からなかったが、僕がいるときは、賄いが美味しいという噂もあった。
ある日、そんな料理長を尊敬し「料理の世界に入りたい」と言った。・・続く。

一緒に働けると信じていた。しかし、料理長には断られた。

「お前は、障害のある子供達とオモロいことしたいって言ってたやろ。だから、お前は研究者になれ。俺アホやから、よー分からんけど、お前のそういうところ、俺は尊敬してるんやから、裏切るな。」

そして、僕は大学の准教授になった。・続く

現在は障害支援や合理的配慮の研究に携わっている。
今から思えば、料理長の指導が今でも基本にある。
勿論、料理長は障害支援を何も知らない。ただ僕のことをひたすら見てくれた。僕を活かそうとしてくれた。
そう、これが障害支援の基本なのだ。
あれから15年。ゼミ生と料理長の店に行った。続く

「よぉ。久しぶり。」

店に入ると、ゼミ生無視で(ごめん)、15年前に戻った。
帰り際、ゼミ生はこう言った。

「料理長、先生と全く一緒ですね。」

料理長に近づけたかは分からないけど、なんか嬉しかった。
今度は自分が育てる番。ゼミ生は来週巣立つ。
卒業式はできないけど、卒業おめでとう。

とても感動するエピソード。この投稿には「泣いてしまいました」「眼から鱗が落ちました」など、料理長やおがっち ☘傾き135度の研究者になりたい(@ogatti21)さんの行動を称賛するコメントが殺到。10万人以上の人から反響が集まりました。

この料理長のフォローによって、今は研究者になっているおがっち ☘傾き135度の研究者になりたい(@ogatti21)さん。今度は「育てる」側として活躍しています。

私たちはこのエピソードから、障害のある人との関わり方だけでなく、人への配慮の大切さを学ぶことができるかもしれません。

今回ご紹介したような考え方が広まり、誰もが生きやすい世の中になるといいですね。

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