ライフ

育休パパ論争で浮き彫りになった “パパ間格差”

■「育休が取れるなんて大手企業だけ」のぼやき

先日、日テレ「ZIP!」で育休パパ特集が放送された。「男性の育休? せいぜい数週間から数ヶ月の、よくある名前だけの育休だろう」と侮ってはいけない。1年間の育児休暇を取得して子育てや家事を担当するパパの一日や、会社の理解ある様子、そして「2014年4月から育休中に給付される賃金が育休取得前の50%から67%に上がり、今後は育休を取得する男性が増えます」とする専門家のコメントなどが紹介された。中には、育休中の時間を有効活用して資格取得を目指すパパもいるという。

http://matome.naver.jp/odai/2143812615099126901

一方、SNSでは『ZIP!』を見ているママたちが放送中から賛否両論で大盛り上がり。

「育休取ってくれるパパなんていいなぁ、素敵」
「こうやって子育てしやすい社会になっていくといいね」
「時代は変わったねぇ。普及すればいいけど」
「羨ましいけれど、みんながみんな育休を取れる職場にいるわけじゃない」
「勤め先が大手だからでしょう。中小じゃ無理」
「ママが専業主婦で子ども一人でもパパが育休って、何それ? 恵まれてるよね」
「うちのパパも育休取ってくれたけれど、正直、いない方が楽だった」

■「※ただしイクメンに限る」

賛否の「否」とは、育休制度に否定的というのではなく、もっと直感的な、ママたちのぼやきの数々。パパの勤務先が育休制度を持てるほどの経営体力や規模のない企業であることをうらめしく思ったり、家事育児能力が高くなく、前向きな学習姿勢にも欠ける(結果、寝転がってゲームする)パパが育休を取っても、ママからすれば育児で忙しいのにさらに手のかかるパパが家にいて却って迷惑だったり、という話である。

まぁ、そうやって「そんないいものじゃないのよ」とマイナス面を指摘したり、「いいわよねー、余裕があるお家は」とやっかんだりというのは、SNSの平常運転でもあるかも。ただ、このママたちのぼやきに耳を傾けるとわかるのは、男性が育休を取得できる制度を採用している企業、それを取得してくれる男性たち、みんなもちろん素晴らしくぜひ広まっていくべきなのだけれど、その実、育休制度をちゃんと活用できるかどうか、本来の意義である「男性もしっかり子育てと家庭に関わること」を実現できるかどうかは、その男性本人にかかっているということだ。ぼやいたママたちからすると「※ただしイクメンに限る」のである。

■これからは「勤める職場のホワイト度」と「本人のイクメン度」が男性間格差になる?

いみじくも、婚活ビジネスの延長線上で、独身男性を対象に家事や育児の仕方を教える「イクメン大学」なるものもできたとかで、それもそれでSNSを賑わせていた。そういうものにお世話になるかどうかはともかく、これから家庭を持つ男性には身の回りのことや自分の子どもの世話を当然のようにする能力が要求されるというのは、当の若い男性たちの方がよく自覚している。「自分と自分の家庭のことだもの、それくらいできなきゃダメでしょ」「当たり前のこと」「できない方がカッコ悪い」と口にする、いまの若い男子を見ていて、その風通しの良さにうっすら感動してしまう。

若くてもシニアでも、男も女も当然働く。男も女も当然子どもを育てる、介護もする。そういう社会が今そこまで来ている。そんな子育て介護「総参加」社会では、男性本人のイクメン度もモテの要素である上、育休や時短勤務制度など、ダイバーシティ対応を男性にも拡充し実績を出している企業も、同様に世間からモテる。すでに国や自治体、民間団体による企業評価ランキングには、ダイバーシティ対応度が指標として組み込まれているものが多い。

これからの男性のモテは「企業のホワイト度」×「男性のイクメン度」で測ることができてしまうかもしれないし、男性間、パパ間にそういう格差ができるかもしれない。もう、言い訳はナシだ。

  • シェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加