ユニクロが、この10月から、転勤のない“地域正社員”を対象に「週休3日制」を導入するとのことです。事前ヒアリングの結果では、対象者の約2割が週休3日制を希望しているのだそうです。
この週休3日制は、スポーツ用品販売大手のアルペンが1989年からこの制度を導入して草分け的な存在となっています。これをアピールして採用活動に生かしているということもあるそうで、ユニクロでも同じように「魅力が増して入社する人が増えてくれると良い」などと考えているようです。
週休3日制といわれると、たぶんほとんどの人が、「そんな制度があってうらやましい」などというのだと思います。ただ、よくよく考えると、そんなに良いことばかりではありません。
ユニクロの場合で言えば、現在は必ずしも出勤ではない土日祝日が、原則として出勤日になるほか、通常は1日8時間の勤務時間も10時間に増えます。
仕事の進め方によっては、週3日も休むと、逆に仕事上の支障が自分に降りかかってきてしまうかもしれません。
なぜ、それでも希望する人が大勢いて、多数の人がうらやましいと思うのでしょうか。
これは私がサラリーマンと自営業の両方を経験しているため、よけいに思うことなのかもしれませんが、人間の根本的な心理として、「時間の使い方を制約されること」というのは、実は人間にとって最も苦しいことの一つだからではないかということです。
例えば、今の自分の働き方は、サラリーマンだとしたら相当にブラックですが、クライアントとの間の約束を守り、決められた生産物やコンサルティングを、品質と成果を伴う形で提供してさえいれば、そのやり方は一切問われません。
時間が足りなくて、夜中も週末も仕事をしなければならない時がある一方で、やる気が出ない時には、平日昼間からボヤっとしていたり、遊んでいたりすることもあります。もちろん、仕事以外の自分の時間も、ほぼ問題なく取れます。
そして、これらの時間配分は、すべて自分で決めていることなので、忙しいとか時間が足りないと思うことはあっても、縛られている感覚はまったくありません。
これがサラリーマン時代は全く逆で、仕事が忙しくても暇でも、所定就業時間には必ず会社にいなければならないので、そんな基本的なことが結構イヤだと思っていました。
通勤では、多くの人が一斉に動くせいで、移動の時間効率が悪く余計な体力を使いますし、残業も、みんな帰らないから自分も帰れないという、付き合い残業のような合理的でない話もあります。
私の感覚ほど極端ではなくても、誰でも多かれ少なかれ、時間の自由を縛られている感覚を持ち、それが好ましくないことと本能的に思っていて、それが働き方としては大変であっても、時間的な自由度が増えそうに見える「週休3日」を望む理由ではないかと思います。
会社で雇われて働く限り、すべてが自由になることはありませんし、「週休3日」で、本当に自由度が増すのかはわかりません。
それでも、“時間の使い方で本人に委ねられる部分が増える”という心理的な要素は、意外に大きいのではないかと思います。現実にそうなれば、なおさら好ましいことでしょう。
「時間の自由度」というのは、実は万人にとって、最も大切なものなのではないかと思います。(ユニティ・サポート小笠原隆夫)
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