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いま、バナナが消滅の危機にある

猛暑がつづくなか、つい手を伸ばしてしまうのが冷たいスイーツです。かき氷、アイスクリーム、パフェ……はい、パフェといえば、アイスと一緒に添えられたバナナが欠かせませんよね。ところが今、バナナが消滅の危機にあるというのです。もっとも身近な果物と言っても過言ではないバナナが、なぜそんなことに?

■「新パナマ病」で食卓からバナナが消える?

バナナは種ではなく、桜などの植物と同様に、接き木で増やす「クローン」での栽培が主流です。この方法で栽培をおこなうことで、おいしい品種を集中して増やすことができる反面、作物が一度病気にかかると一気に広がってしまうという弱さがあります。いまバナナが、その病気を原因とした消滅の危機に晒されていると噂されています。

バナナが病気によって壊滅の危機に追いこまれるのは、初めてではありません。昭和の日本でバナナが高級品とされていたころの品種「グロスミシェル種」が、カビ菌の影響で幹が腐ってしまう「パナマ病」と呼ばれる病気に犯されました。これにより壊滅的なダメージを受けたグロスミシェル種は、市場から姿を消しました。変わって登場したパナマ病に強い「キャベンディッシュ種」が、現在多く市場に流通しているバナナです。

ところが最近、このキャベンディッシュ種を脅かすパナマ病に似たカビの変異体による「新パナマ病」が東南アジアを中心に報告されています。そのため、現在では「新パナマ病に強く、かつ、おいしいバナナ」の品種開発が急がれています。

新しい病原体に強い種を開発したり、種を保存したりと、バナナには安定した供給のために人間が戦ってきた歴史があります。ふだん何気なく食べているものは当たり前に食べられるわけではないのだということを、改めて理解したいところです。

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