最近、600mlのペットボトルのお茶を店頭で見かける機会が増えてきた。消費者にとって嬉しいのは価格が変わらずに容量が増えているという点だ。今回は「なぜ、お茶のペットボトルが600mlになったのか? 」について考えてみた。
理由1:猛暑による水分補給の必要性
今夏、全国各地で36℃を超える猛暑日を記録し、東京でも5日以上も猛暑日が続いている。屋外での暑さはもちろん、室内にいても熱中症になる危険性があるほどの状況だ。例年以上に、水分を補給することが必要で、体調管理という意味だけでなく、あまりの暑さに喉を潤したい人が増えるのも自然なことだ。水分は補給したいが、できるだけお金を遣いたくない。マイ水筒を購入し、自宅から飲料を持参する人もいる一方、購入する飲料としては少しでも容量が多い方が嬉しいという心理が消費者に働いている。
理由2:メーカーと消費者へのメリット
ペットボトルのお茶の販売金額に占める原価の割合のうち、実際に飲む部分に関する費用は10%にも満たない。販売価格のうち容器にかかる費用も20%には満たず、費用の約50%程度は広告宣伝費という状況だ。このような状況のため、販売価格を変えず、容量を増やすことは飲料メーカーにとって、それほど大きな負担にはならない。むしろ500mlから600mlに増量することで競合との差別化が図れるのであれば、メーカーにとってはメリットになる。それは当然のことながら消費者のメリットにも繋がる。600mlになるのは、メーカーと消費者の双方にメリットがあるのだ。
理由3:お茶に適切なサイズ
お茶が飲まれるシーンを考えてもらいたい。お茶を飲む人は、飲料をカバンに入れて持ち歩くことが多い。理由1に書いたように、水分補給の必要性から飲料の容量が多くなるのはありがたい。一方で、カバンなどに入れるためには、高さや幅などのサイズは大きくしたくないというのが消費者の本音だ。したがって、飲料メーカーとしても、サイズを大きく変えることなく、500mlを600mlにするという手法をとったのだろう。
600mlのペットボトルが清涼飲料水よりもお茶に多く採用された理由については、どんなシーンで飲み物が消費されるのかと関連する。たとえば、スポーツ系飲料などは750mlのペットボトルにしても問題が少ない。なぜなら、激しい運動によって、より大量の水分補給が一気に必要になることが多いからだ。また仮に飲みきれなかったとしても、荷物をいれているスポーツバッグはサイズが大きいので問題は少ない。学校や仕事などで使うカバンの中に入れる可能性の高いお茶とは異なるのだ。
理由4:容量が増えてもくどくない味
600mlのペットボトル飲料にお茶が多い理由としては味も挙げられる。サッパリとした味のお茶であれば、容量を増やしてもゴクゴクと飲むことが可能だ。ただ、甘い味のついた飲料であれば、容量が増えると飲み切れない可能性も出てくる。飲みきれない場合、甘い飲料は常温ではあまり好まれない。お茶の場合、そもそも常温で飲む人も少なくないので、仮に飲みきれない場合でも問題は少ないのだ。
※2016年8月15日時点のものです。