昨今、ドライブマナーやモラルの欠如により、以前では考えられなかった自動車事故が増えてきている。では、マナーが良ければ事故は起きないのか?答えは…YES。
■最も運転マナーの良い島根県は交通事故発生率も全国最下位
JAFが2016年に発表したアンケート調査の中に、興味深いデータを見つけた。「住んでいる都道府県での交通マナー」をテーマにしたものだ。ユーザー自身が住んでいる都道府県でのドライブマナーについて回答したものである。
- 「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い」 86.2%(「とても思う」が43.7%、「やや思う」が42.5%)に達し、このような場面で一時停止しない車が多い傾向である。
- 「方向指示器(ウインカー)を出さずに車線変更や右左折する車が多い」と思う方は77.1%(「とても思う」が29.4%、「やや思う」が47.7%)に達し、やや思う傾向が高い。
- 「運転中に携帯電話(スマホ含む)を使用しているドライバーが多い」と思う方は84.3%(「とても思う」が37.0%、「やや思う」が47.3%)に達し、携帯電話(スマホ含む)を運転中に使用しているドライバーが多い傾向である。
- 自分自身が思いやりをもって、交通マナーを意識して運転している方は、「とても意識している」が45.1%、「やや意識している」が52.3%で、意識している方は多い傾向である。
- 自分自身が住んでいる都道府県の全般的な交通マナーについては、「とても良いと思う」が0.9%、「良いと思う」が10.4%、「普通」が50.4%、「悪いと思う」が31.3%、「とても悪いと思う」が7.0%である。
ここにある数字は、アンケート結果の全国平均になるが、信号のない道路での一時停止をしない、ウィンカーを出さずに車線変更をする車に対して苦々しく思っているドライバーがこんなにもいたとは少々驚きである。
■ドライブマナーが悪い都道府県の1位は?
以上の結果にはさらに続きがある。それは、「ドライブマナーの悪い都道府県」はどこか?というデータだ。正確には、自分の都道府県のドライブマナーについてどう思うか?という意味である。
「悪い」、「とても悪い」と回答した都道府県の1位は香川県で、2位徳島県で73.5%、3位茨城県で67.2%、4位沖縄県で64.0%、そして5位が福岡県59.3%である。もちろん、この数字は、あくまでのアンケート結果なので、回答者がどう思っているのか?が結果となって出ているに過ぎない。香川県のドライバーは正直?なのかもしれない。
マナーが「とても悪い」、「悪い」と回答した人の比率は下記のとおりだ(全国平均は、38.3%)。
- 香川:80.0%
- 徳島:73.5%
- 茨城:67.2%
- 沖縄:64.0%
- 福岡:59.3%(人口あたりの交通事故発生率が2位)
- 愛知:59.3%(人口あたりの交通事故発生件数が1位、10万人あたりの死者数が1位)
- 大阪:58.9%(人口あたりの事故発生件数が2位)
- 岡山:58.6%
- 福井:58.2%(10万人あたりの死者数が2位)
- 山梨:51.7%
- 石川:50.6%
- 栃木:50.3%
- 青森:48.8%
- 大分:48.3%
- 北海道:47.3%
- 愛媛:43.8%
- 佐賀:43.1%(10万人あたりの死者数が1位、事故発生率が1位)
- 広島:41.1%
- 熊本:41.0%
- 鳥取:40.7%
- 宮城:39.8%
- 群馬:38.7%
- 富山:37.4%
- 新潟:36.7%
- 千葉:35.9%
- 長野:34.6%
- 和歌山:34.5%
- 高知:34.0%
- 三重:32.4%(10万人あたりの死者数が3位)
- 兵庫:30.8%
- 京都:30.3%
- 山形:29.3%
- 宮崎:29.1%
- 奈良:29.0%
- 静岡:26.8%(事故発生率が3位)
- 福島:24.5%
- 埼玉:24.4%
- 滋賀:23.7%
- 鹿児島:23.5%
- 岐阜:22.3%
- 秋田:21.9%(事故発生件数が最も少ない)
- 東京:20.7%(10万人あたりの死者数が最も少ない)
- 山口:19.4%
- 神奈川:19.0%
- 長崎:19.0%
- 岩手:18.1%
- 島根:16.1%(事故発生率が最も低い)
■運転マナーの良い都道府県は、交通事故発生率も低い?
ここはとっても気になる結果が出ている。運転マナーが悪いと思う都道府県の最下位(つまり、マナーが良い)は島根県なわけだが島根県は、交通事故発生率も全国最下位という事実がある。他も、41位秋田、42位東京などでその傾向がみられる。マナーが良ければ交通事故も減るということなのだろう。
ちなみに、筆者は仕事やプライベートで様々な都道府県を訪れるが、いつも思うのは、「都会のドライバーは紳士的」ということ。特に平日の都会ドライバーは、車通勤は少なめで、営業車や輸送車などプロが運転しているケースが多い。混雑した都会の道を走るプロドライバーとしての自覚ができているんだろうなあ。自分のことだけではない、常に周囲の交通との調和を考えて運転しているように思う。運転が下手なのに、プライドだけは高いサンデードライバーのように「道を譲る=負け」みたいな、感覚は皆無だ。混んだ道路でも車線変更の意思表示をすれば、するっと入れてくれる。交通の流れをかき乱すことはない。
文:加藤久美子
※情報は2017年11月1日現在のものです