2019年12月の時点で、その累計発行部数が1億部を突破した人気漫画『進撃の巨人』。物語もクライマックスに近づいてきた感のある同作から、今回は、主人公たちが所属する調査兵団の元団長、エルヴィン・スミスの名采配を3つ紹介する。
■女型の巨人捕獲作戦/市民の犠牲が出る市街地戦をまさかの決行!!
常に落ち着いた眼差しで、感情に踊らされることなく、大局を見据えて行動をし続けるエルヴィン。壁内に潜伏していた巨人化能力者のうち、最初に正体が露見した“女型の巨人”ことアニ・レオンハートを捕獲しようとした作戦でも、その冷静さが垣間見えた。
一度は、巨人化状態のまま女型の巨人を捕縛することに成功したエルヴィン率いる調査兵団。しかし、女型の巨人の予期せぬ能力に、逃走を許してしまう。コミックス第8巻で描かれた、その雪辱戦とも言える捕獲劇は壮絶を極めることとなった。
初めに、巨人化前のアニを地下道に誘い込んで、捕獲しようとする一次作戦を決行したものの、これは失敗。だが、二次作戦も周到。巨人化したエレンをぶつけると同時に、調査兵団による捕縛も同時進行で進めていたのだ。
辛くも女型の捕獲に成功したエルヴィンだが、この捕獲撃で、多くの民間人が犠牲になった。しかし、それを目の当たりにしても微動だにしなかったあたり、流石の貫禄だといえるだろう。
■エレン奪還作戦/全滅もありえる“奇策”と負傷も厭わぬ覚悟に驚愕…
次は、10~12巻で描かれた、ウォール・ローゼでの“鎧の巨人”&“超大型巨人”対エレンのバトルと、それに続くエレン奪還作戦だ。
エレンたちと同期でありながら、裏切り者であった鎧の巨人ことライナー・ブラウンと、超大型巨人ことベルトルト・フーパー。激突の末敗北し、二人に連れ去られることとなったエレンを奪還するために、エルヴィン率いる調査兵団は、平原地帯で決死の作戦を実行する。
その作戦とは、走り抜ける鎧の巨人に、無数の“無垢の巨人”をけしかけ、混乱の最中にエレンを奪取するというものだった。この奇策は、ライナーとベルトルトを大いに苦しめた。
エレンの中に眠る始祖の巨人の能力覚醒もあり、見事エレンの奪還に成功。この激しい戦いのなか、自身の右腕を巨人に食いちぎられながらも、兵団を鼓舞し続けたエルヴィンの姿は壮絶だ。
■ウォール・マリア最終奪還作戦/死地に飛び込み希望を繋いだ特攻作戦
最後にご紹介するのは、20巻で描かれたウォール・マリア最終奪還作戦だ。かつて、巨人の襲撃で壊滅したシガンシナ区にあるエレンの生家、その地下に眠る壁外情報と農耕地奪還をかけた、壁内戦闘史における決戦とでも言うべきこの争いで、エルヴィンは鬼気迫る指揮を見せた。
ウォール・マリア内から激烈な投石攻撃を仕掛ける“獣の巨人”と、ウォール・マリアの外側に位置するシガンシナ区内で、大火事を延焼させる超大型巨人と鎧の巨人の攻撃で、絶体絶命の挟み撃ちに追い込まれた調査兵団。
しかし、エルヴィンは絶望する新兵たちを鼓舞し、煙幕弾を撃ちながら、自ら先陣を切って獣の巨人に突撃。獣の巨人に不意打ちをかけるリヴァイ兵長を援護したのだ。
兵団はほぼ壊滅となり、自身も瀕死の重傷を負うも獣を退けることに成功、土壇場で立案した特攻作戦で、人類の希望であるエレンを敵から守り抜いたのだった。