猫ボラ(猫ボランティア)をしていると、さまざまな猫に出会います。同じ父母から生まれた兄弟でも、色柄はまったく違うし、猫の場合は父親違いの同胎がザラにいるので、遺伝的にこの色柄の兄弟ってあり得ないけど、でも多分兄弟だよねと判断することも。
性格もさまざまです。色柄がまったく違っても、性格が似ている兄弟もいれば、まったく違うケースもあります。猫は非常に個性豊か、そこも猫の魅力かもしれません。
今回はそんな個性のひとつ、鳴く猫と鳴かない猫のご紹介。猫が鳴くのは、どんなときでしょう。
■鳴かない猫
生まれつき非常によく鳴く猫と、ほとんど鳴かない猫、すなわち声を出すのが下手な猫がいます。自分の意志で鳴かない猫もいれば、鳴き方がわからない、かすれ声しか出せない、または口を開けて鳴いているつもりだけれど、ちゃんと声が出ない猫もいます。身体的に問題があるのかも知れませんが、性格的に誰かに依存することが苦手な猫は、鳴かない傾向が高いようです。
でも、鳴かないからといって甘えたいし、何か伝えたいことはあるのです。鳴かない猫と暮らしている方は、声に出てこないボディランゲージをきちんと読み取ってあげてください。
■なぜ鳴くの?
猫が鳴く理由は大きく以下の5つに分類できます。
1.要求を伝えるとき
2.甘えたいとき
3.恐怖・警戒の時
4.助けが必要で鳴くことしかできないとき
5.原因不明
基本的に飼い主のいない猫は、声を出すことで襲われる危険があるため、幼いうちに母猫から鳴いてはいけないとしつけられます。しかし、人と暮らすようになると、猫は鳴くことで自分の要求が叶う・飼い主をコントロールできることを覚えていきます。
猫は2~3歳児の知能を持った賢い動物で、特に自分に都合のよいことに関しての学習能力は高く、反対に都合の悪いことを忘れる(忘れたふりができる)能力も持ち合わせています。
例えば、鳴けばご飯をもらえた、自分に注意を向けることができた、遊んでもらえた、構ってもらえた、甘えられたなどだけでなく、窮地に陥ったとき、挟まれて出られなくなったり、何かのアクシデントに巻き込まれたときに助けてもらえた経験などで、鳴けば何とかなると学びます。
■鳴きやまない猫
昼間は静かなのに、夜や早朝になると鳴き始め、鳴きやまない猫がいます。何かしらの要求があるのでしょうが、お腹はいっぱい、トイレは清潔。甘えさせて、たくさん遊ぶと静かになりますが、半時間も経たないうちにまた鳴き始めます。
鳴くと構うからよけいに鳴くのだと放っておくと、どんどん鳴き声が高くなって、全然鳴きやんでくれない。深夜や早朝だと、自分も睡眠不足だし、ご近所迷惑にもなりかねません。
猫が鳴きやまなくなったら、まず様子を観察します。身体のどこかを痛がったり、異常がないかチェック。食欲は? ウンチやおしっこ、ちゃんと出ていますか? 猫が何か不安に思うもの、ストレスを感じるようなものが近くにありませんか?
体調に問題がなさそうだったら、理由を想像してみます。家の中、以前と変わったことはありませんか? 引っ越した? 家具の配置を変えた? 新しい家族が増えた? 猫のベッドを洗濯したら鳴き始めたなんてこともあります。ただ、何かしらの変化で鳴き始めたケースだと、2週間前後で自然と治まってきますす。それ以上鳴き続けるのは、別の原因があるかもしれません。
■原因不明
猫が鳴き続ける理由は、人間にはわからないものなのかも知れませんが、深夜や早朝に鳴き始める猫が多いことは確かです。人と暮らす猫はその人の生活パターンに合わせてくれるようになりますが、本能では深夜から早朝までが活動時間です。自分でもコントロールできない野生に近い本能が、遠吠えのように鳴き続けてしまう理由かも知れません。
しかし、そんな夜鳴きも、自分だけを愛してくれる誰かとの1対1の関係だったり、相性のよい猫だったり、その猫にマッチングするものが見つかると、ウソみたいに収まります。
寝る前に15分~20分、猫がクタクタになるまで一番好きなおもちゃで遊ばせて、寝る直前に少しだけドライフードをお皿に置いて寝ることを日課にすると、夜鳴きが軽減したというケースもあります。
■まさかの理由?!
とっくに去勢・不妊手術が済んでいるから、まさか発情で鳴いているとは想像もしないかも知れませんが、メスの場合ですと、卵巣を取ったときに、偶然細胞の一部が付着し、そこから卵巣が再生、疑似発情期が訪れたということもありますので、発情っぽいほかの動作もみられたら、獣医師にご相談下さい。
猫の機嫌がよいときは、声のトーンが高い、短めの鳴き方、全体的に軽め、咽も一緒に鳴らしているなど特徴があります。
反対に、不機嫌な時は、低く唸るような声であったり、頭のてっぺんから噴火しそうな勢いで発せられる高いソプラノだったり、長ーく引っ張るような一定音だったりします。
機嫌のよいときの声には、こちらが合いの手のように返事をすると、会話が成立します。
猫:にゃぁ
わたし:な~?
猫:なぁーー
わたし:なぁ~~
といった具合に会話が続くと、より一層猫に近づいた気分になれますよ。
どちらにしても、鳴くのも猫の個性のひとつとして捉え、あまり深刻になりすぎない方がいいです。(執筆:岩田 麻美子)
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