快眠法に関する情報はたくさん出回っていますが、良質な睡眠をとっている人は、かなり少ないのが現実です。今回は、味の素株式会社が行った「全国睡眠意識調査」の結果をご紹介します。
■7割近くが睡眠の質に不満
最近は睡眠への関心が高まっていて、睡眠に関するいろいろな調査が行われています。
平成27年7月には、味の素株式会社がインターネットを使って、「全国睡眠意識調査」を行いました。対象は、日本に住む20歳以上の男女で、あわせて1,200人でした。
この「全国睡眠意識調査」では、睡眠の質や日中の眠気、睡眠の悩みについて、アンケートがとられました。
まず、睡眠の質について、過去1ヶ月間に週3回以上あてはまるものを尋ねた結果は、次のとおりです。
・非常に不満である/全く眠れなかった 4.5%
・かなり不満である 15.3%
・少し不満である 49.0%
・満足している 31.2%
つまり、満足した睡眠をとっている人は、3人に一人しかいませんでした。一方、睡眠の質に不満がある人は、全体の7割近くもいることが分かりました。
■日中に眠気を感じる人は8割以上
次に、日中の眠気について、過去1ヶ月間に週3回以上あてはまるかを尋ねました。
・激しい 2.3%
・かなりある 15.4%
・少しある 63.1%
・まったくない 19.3%
生体リズムの働きで、午後2時から4時ごろには、誰でも眠くなります。ですから、眠気が少しあると答えた人の多くは、正常と言えます。
一方、眠気が「激しい」および「かなりある」人は、合わせて全体の2割弱もいます。これらの人は、睡眠時間を増やすか睡眠の質を高めて、日中の眠気を減らす必要があります。
最後に、睡眠を改善したいと思うか尋ねました。
・そう思う 17.8%
・ややそう思う 30.9%
・どちらともいえない 29.6%
・あまりそう思わない 13.6%
・そう思わない 8.2%
約半数の人が、今の睡眠を改善したいと思っています。しかし、思っていてもなかなか実行できないのが、現実のようです。では、どうしたら簡単に睡眠を改善できるのでしょうか?
■グリシン・トリプトファン・ギャバの3種類のアミノ酸がお勧め
毎日が忙しい現代人にとって、睡眠時間を伸ばすのは難しいでしょう。短い時間でも質の良い睡眠をとれれば、日中の眠気はある程度やわらぎます。
睡眠の質を高める方法はいくつかありますが、お手軽なのは睡眠に良い食べ物をとることです。睡眠の質を改善する食べ物として、3種類のアミノ酸をお勧めします。アミノ酸は、タンパク質の素になるものです。アミノ酸の中でも、グリシンとトリプトファン、ギャバがお勧めです。
グリシンは、体温の低下をスムーズにして、深く眠るサポートをしてくれます。グリシンは、エビやホタテ、イカ、カニ、カジキマグロなどの魚介類に多く含まれていて、旨味の素となっています。
トリプトファンは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの原料です。トリプトファンは、牛乳や乳製品、豆・豆製品、バナナ、アボカド、肉類、スジコ、タラコに、比較的多く含まれています。
医師が処方する睡眠薬の多くは、脳の中でギャバの作用を強めて、眠らせようとするものです。玄米や胚芽米、アワ・キビ・ヒエ・大麦などの雑穀、漬物、小魚、トマト、スプラウト(発芽野菜)、ココア、チョコレートなどに、ギャバが多く含まれています。
(執筆:坪田 聡)
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