元日本テレビ解説委員で、現在は多くのメディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room」。親子の笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は、話題のツイートから "夫の家事分担" について考えます。
先日、今そっち(@gororin_dararin)さんのツイートが話題になりました。
色々あって最近家にいる旦那。「この数ヶ月で気づいた…嫁ちゃん、元気な日が月に半分もない。」「こんな状態で何年も一人で家事育児こなしてたとか信じられない、ごめん。これから全部お前がやって当然くらいに思ってくれていいから休んでほしい」と。 旦那、転職するってよ!うう…(´;Д;`)
ステイホーム中、妻の家事育児の大変さに気付いた旦那様の決意に、ネット上では「すごい!」「泣ける」「なんていい話」と称賛の声が集まりました。今そっち(@gororin_dararin)さんの大変な努力があったことが想像されますし、旦那様の言葉に深い愛情を感じますね。
今そっち(@gororin_dararin)さん、どうぞお身体大切に。旦那様の転職もうまく運びますようお祈りします。
■夫の「気づき」…時にはショック療法も必要に
家事育児の分担に対する世の男性陣の意識には、次のようなステージがあるように思います。
① 妻の苦労に気付く
② 妻に感謝する、詫びる
③ 手伝う、と言う
④ 頼まれれば、動く
⑤ 自主的に、動く
「自主的に動く(⑤)」、まで到達してくれれば本当に助かりますが、なかなか長い道のりですね。妻の家事育児負担に「気付いた(①)」きっかけを世の男性陣に聞くと、「出産後に休みを取った時に苦労を目の当たりにした」「妻が外出した間に育児を一日任されただけで疲労困憊した」といった体験談が聞かれます。コロナ禍の「ステイホーム」も、こうした「気づきのショック療法」になっているようです。
■ステイホームで夫は「満足」、妻は「イライラ」!?
ですが、ステイホーム中の家事育児の意識には、夫と妻の間に大きなギャップもあるようです。明治安田生命が0歳から6歳の子どもがいる男女1,100人に行った意識調査結果を男女別に見てみますと……。
男性はステイホーム期間中、
・「積極的に子どもの面倒をみるようになった」(20.9%)
・「子どもとの絆が深まった」(18.5%)
など、育児にポジティブな回答が約7割を占めています。
それに対して、女性は
・「子どもにイライラすることが多くなった」(22.0%)
・「夫の育児にイライラすることが多くなった」(11.3%)
など、子育てにストレスを感じている内容が約4割を占めているのです。
育児を担っているはずのパパさんたちに注がれる妻たちの目が、案外冷ややかであることを、パパさんたちは知っておいたほうがよさそうです。
■男性に家事をやる気にさせる「タスク化」
では、ステイホーム中の「気づき」を、「気づいただけ」に終わらせないためにはどうすればよいのでしょうか。
その1つの方法に、「家事育児のタスク化」があるのではないかと私は思っています。男性にとっては、家事育児を「タスク=仕事」として「任せる」ことで、グッとやりやすくなるという、男性学の専門家などの指摘をもとにした方法です。「任せる」のですから、男性陣にありがちな「手伝う」という意識からも脱却してもらえ、妻としては精神的にも助かります。
その前提として、まずは「家事の名づけ」が大切です。普段は何気なく妻がやっている「名もなき家事育児」に名前をつけて、立派な「タスク」にしていきます。
例えば、我が家では主人の担当は【ゴミ出し】と【風呂掃除】と【深夜に自分が食べたあとの食器は自分で洗う】がありますが、その前後に発生する【ゴミをまとめる】【新しいゴミ袋をつける】【風呂用洗剤の詰め替え】【風呂掃除道具の整頓】といった細かな家事も、言語化して「タスク」として任せると、なんとか継続してやってくれています。
妻の心得としては、「現場を見ない」。家事のやり方は、夫婦であっても異なるものです。見るとどうしても、「あ~どうして散らかるの~」などと口を出したくなってしまいますから。そして、完了した現場だけを見て、「ありがとう!助かりました」と笑顔だけ。家事育児の「タスク化」、よろしければ試してみてください。
男性が家事や育児に費やす時間が「先進国で最低水準」のニッポンですが、ご家庭それぞれにあった形で、苦労を助け合える道が見つかりますように。そして、そんな夫婦が家事育児と仕事を両立しやすい職場を、少しでも増やしていきたいものです。