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美味しいだけじゃない、スイカの驚くべき効能

夏の果物といえばスイカは外すことができません。暑い体にシャリッと冷えた食感は夏ならではのデザートです。実はこのスイカ、味のほかには喉をうるおす程度の効果かと思いきや、びっくりするほどの効能を兼ね備える夏ならではの果物だったのです。

■あの赤い色はトマトの「リコピン」と同じだった

トマトで有名になった「リコピン」ですが、スイカの赤い色も同じ性質を持っています。リコピンには活性酸素を消去してくれる、いわゆる抗酸化作用があります。活性酸素は普段細菌などを攻撃している有益な物質ですが、大量に発生すると自分自身の細胞を攻撃し、細胞中のDNAを傷つけることでガンや老化を促進すると言われています。

もちろんスイカに含まれるリコピンも活性酸素を抑える抗酸化作用があり、過剰の活性酸素を中和してくれます。この抗酸化作用はビタミンEの100倍以上にもなると言われています。

■スイカから発見されたアミノ酸「シトルリン」

1930年代当時にスイカが糖尿病に有効と言われており、東京大学の鈴木梅太郎研究室でスイカの果汁成分の研究が行われ、和田光徳によって新アミノ酸 -Citrulline(シトルリン) の構造決定が行われたそうです。シトルリンはスイカの学名であるCitrullus vulgaris (シトルラス ブルガリス) から名づけられました。過酷な環境で育つ、生命力の強い野生のスイカに多く含まれ、私からたちの体の中にも存在している成分です。

20世紀中ごろには人間の体内でシトルリンが重要な役割を果たしていることが明らかになり、さらに1998年にノーベル賞に一酸化窒素(NO)が取り上げられNO合成酵素による産物としてあらためて脚光を浴び研究が活発に行われるようになりました。

シトルリンは血管の機能維持に不可欠な成分で、体内で一酸化窒素(NO)を産出し血管を拡げて血行を良くする働きがあります。血管の内面表皮細胞は一酸化窒素(NO)をシグナルとして周囲の平滑筋を弛緩させ、動脈を拡張させて血流量を増やします。ニトログリセリンなどが心臓病の治療に用いられる理由です。一酸化窒素(NO)は陰茎の勃起にも働き、バイアグラはこのメカニズムを利用したものです。

シトルリンの血管拡張効果はニトログリセリンやバイアグラほど過激ではなく、スイカの中での含有量も100gあたり180mg程度と少量ですのでご安心ください。

■アメリカで注目されているプレワークアウト

「プレワークアウト」とは、運動効果向上を目的に運動前に血流促進効果を持つアミノ酸が配合されたスポーツドリンクやサプリメントを飲み、持久力や集中力の向上など運動時のパフォーマンスアップを行うことです。
アメリカでは世界に先駆けてシトルリン配合のスポーツドリンクやサプリメントの人気が出ています。

協和発酵キリンは2014年12月19日にシトルリンを運動前に摂取することで運動パフォーマンスが向上することを発表しました。

日頃から運動習慣があり、運動パフォーマンスの高い20代から30代の男性が運動前にシトルリンを摂取しパフォーマンスに変化が出るか否か測定したそうです。8日間シトルリン、もしくは偽薬を運動前に飲みエルゴメーター(医療測定用ランニングマシン)による4キロメートルのタイムトライアルを実施し時間や酸素利用効率、被験者の体感などを測定しました。シトルリンを摂取した群では走破時間が有意に短縮され、酸素利用効率が向上する傾向にあることがわかり、運動直後の体感アンケート(VAS)によると、「筋肉の疲れ」「集中力」に関して有意な改善効果が見られたそうです。

この夏、スイカを食べて抗酸化作用を活かし、効果的なエクササイズも組み合わせてエネルギーあふれる体を目指してみませんか?

参考資料
「動脈硬化症とアルギニン,シトルリン」

生化学第86巻第3号,pp. 352―359(2014)

「タンパク質・アミノ酸栄養学の過去・現在・未来」
アミノ酸栄養研究の源流 名古屋大学名誉教授 吉田 昭

2014年12月19日協和発酵キリンニュースリリース
プレワークアウトにおける「シトルリン」の運動パフォーマンス向上効果を初めて確認

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