■『恋はデジャ・ブ』:嫌味な男がループを通して大切なものに気づいていくラブコメディ
まずは、1993年公開のラブコメ映画『恋はデジャ・ブ』を紹介したい。主演は『ゴーストバスターズ』で有名なビル・マーレイ。監督は同じく『ゴーストバスターズ』で寡黙な長身眼鏡キャラ・イゴンを演じた、ハロルド・ライミスだ。
嫌味な性格の気象予報士フィルは、同僚の女性リタとともに、アメリカの片田舎で行われる冬のお祭りの取材に訪れていた。しかし不思議なことに、何度目覚めてもお祭りが行われる2月2日から先に進めなくなったフィルは、ループを通して大切なものに気づいていく。
「世の中なんかどうでもいい」という厭世的な人生観が、幾度とないループの果てに等身大で輝いていく様子は涙を誘うだろう。また、ループの最中に暴飲暴食をしまくるシーンなど、「自分がループしたら一度はやってみたい」と思わせる小粋なギャグシーンも必見だ。
■『ミッション:8ミニッツ』:8分間を繰り返しながら、男はヒーローとして目覚めていく
次は、2011年公開のSFサスペンス『ミッション:8ミニッツ』だ。8分間を繰り返しながら、列車爆破事件の犯人を追い詰めていく主人公に、カメレオン俳優の異名も持つ演技派ジェイク・ジレンホールを配役。緊迫感の果てに感動のラストを迎える、傑作SF映画だ。
アメリカ空軍の大尉スティーブンスが目を覚ますと、そこは電車の中。やがて乗っていた列車は爆発し、奇妙な機械の中で再び目覚めた彼に、モニターに映る謎の女性が「被害者の8分間の記憶を繰り返して犯人を見つけてほしい」と告げ……というのがあらすじである。
列車爆破事故の被害者の8分間の記憶を繰り返し追体験する中で、たとえ過ぎ去った過去だとしても、目の前の乗客たちを救いたいと決意するスティーブンス大尉の“ヒーロー性”が際立ってくる演出はお見事。ラストは思いがけず、感動の涙がこぼれてしまうはずだ。
■『バタフライ・エフェクト』:幼馴染を救うために繰り返すループの果てには…?
最後は、2004年に公開され大ヒットとなったサスペンス映画『バタフライ・エフェクト』だ。本作は、わずかな変化が因果関係の果てに大きな結論につながることを意味する学術用語“バタフライ・効果”をモチーフにし、ひとりの男の孤独なループを描いている。
短時間の記憶喪失症状があった少年エヴァンは、治療の一環で日記をつけ始める。大学生になった彼は、日記を読むとその日に行ける能力が自分にあることに気づき、かつて自分が運命を変えてしまった幼馴染の女性ケイリーを救おうとするのだが……。
ループを繰り返す中で、どんどん大切な存在になっていくケイリー。しかし、あがけばあがくほどに、彼女の人生は連鎖反応でねじれていってしまう。そんななか、ラストでエヴァンが下した切なすぎる選択には、思わず唸らされてしまうことだろう。