元日本テレビ解説委員で、現在は各メディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育て周辺の話題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の "つぼみ" を花開かせる小部屋です。今回は、"コロナ禍の家事分担" について考えます。
「今年一年を漢字で表すとしたら何ですか?」…年末恒例の質問を、先日とあるテレビ番組で頂いた私は、迷わず「飯(メシ)」と答えました。今年はとにかく「ご飯ばっかり作っていた」気がしています。
息子の休校が長く続いた日々。そして夫がほとんど外食をしなくなった日常は、今も続いています。
家族の健康管理に一段と気を遣うコロナ禍の食事作りですが、そのぶん、他の家事の優先順位をつけるなど、夫婦で分担を話し合ったご家庭も多いかもしれません。
そんな中、気になるデータが。
パナソニックの「30代・40代夫婦のライフスタイル調査」(6~7月実施)によると、「共働きなら家事分担をすべき」と考える人が減っている、というのです。
◆共働きなら家事分担すべきと考える人
……男性 2019年…75.6%
2020年…58.4%
女性 2019年…88.4%
2020年…75.6%
男性は去年に比べて、17.2ポイント、女性も12.8ポイントの減少です。コロナ禍の在宅ワークやステイホーム習慣で家事の総量は増えているはずですが、「パートナーに期待するより、自分でやってしまったほうが早い」と考えている人が増えているのでしょうか。
その担い手はというと、どうやら女性の方が家事による疲労感は多いようです。
◆家事で疲れている人
……男性 2019年…30.2%
2020年…26.5%
女性 2019年…60.4%
2020年…63.7%
「家事で疲れている」、と答えた人は、もともと女性が男性の2倍ほどで圧倒的に多いのですが、コロナ禍はさらに増加。一方で、男性は家事による疲労度は少なめで、かつコロナ禍で「減少している」という驚きの実態が見えてきました。夫婦ともに在宅時間が長くなる中、家事を任され、自信をつけた男性陣が多いのか。逆に、「夫に頼らず、自分で片づけよう」として、疲れている妻たちが増えているようにも見えます。
"妻の疲れ" に気づきを!
もしや夫婦間のトラブルが増えているのでは、と心配になりますが、その逆の傾向を示すデータもありました。「家事の分担によるケンカ」を質問したところ、むしろ夫婦間のいさかいは、去年の半分近くまで減っているというのです。
◆家事の分担によるケンカがある(結構ある~あったような気がする・男女)
……2019年…73.8%
2020年…44.9%
世界中が見舞われた非常事態では、衝突よりも、「割り切って日常を回していく」選択をする女性が多い表れかもしれません。
とはいえ、“妻の疲労感”をスルーしてよいはずがありません。国内のコロナ感染者が増え、家庭内の消毒など、一段と家事の負担を感じている人も少なくないでしょう。
この年末年始は、ステイホームする方も多い機会です。来年に向けて「家事をどう分け合うか」、夫婦でゆっくり話し合う機会を持ってはいかがでしょうか。2021年は、それぞれの仕事と家事をどうやりくりしていきたいか。お互いの思いに耳を傾けることで、夫婦の意識のギャップを少しでも埋める時間を持つことができればと思います。
その際に、ここでご紹介したデータを、話題のきっかけに使って頂くのも良いかと思います。「私も、実はちょっと疲れているんだ」と、パートナーに理解を求める際の材料になるかもしれません。
コロナ禍で、家族の大切さを見直した方も多いかと思います。パートナーの笑顔も、自分の笑顔も守るための話し合いが、実り多いものになりますように。