ジャーナリストの岸田雪子氏が子育て周辺の課題を考える連載「岸田雪子のBloom Room」。笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は「休み明けの不登校」について。
ゴールデンウィークが明けたあとは、学校を休みがちになる子どもが増える時期でもあります。新年度で環境が大きく変化し、不安や負担を感じやすいこと。またコロナ禍のマスク生活や活動制限で友だちとの関係を結びにくく、成長期の子どもたちのストレスが積み重なりやすいことも影響しているとみられます。
もともと学校を休む傾向のあった子どもにとっては、4月は「頑張らなくちゃ」と気合いが入っていた場合もあります。親も先生も学校には行って欲しそうだし、新しい教室なら行けるかも……と気を張ってどうにか登校したものの、疲れて、連休を境に「休みたい」と訴えることも少なくないのです。
もしもお子さんが「休みたい」と不調を訴えたら、親はなんと応えるか。
状況によって適した声かけは異なると思いますが、まずは「休みたいんだね」と気持ちを受け取ってあげていただきたいと思います。
「なんでそんなこと言うの?」「何があったの?」と聞きたいのが親心かもしれませんが、むしろ「休みたい」と訴えたということは、その子にとって家庭が安心して弱音を吐ける場なのだ、と受け取ることもできます。まずは、その「安心」を守ることが、子どもの力の源泉となる、ということは覚えておいてください。
「学校を休みたい」子どもは、学校で傷つき、居場所を失っている可能性があります。私が取材した子どもたちの中には、「学校は戦場だった」と表現する子もいました。
その上、家庭でも「なぜ学校に行かないんだ」と問い詰めれば、子どもはさらに自己否定の感情を強めてしまうでしょう。
行かない理由や、それを取り除く解決策、そのための大人からのアドバイスは、学校で受けたであろう傷が癒えた後でも、遅くはありません。むしろ必要なのは、大人側の「子どもを否定せずに聴く力」と言っても過言ではないのです。
子どもの気持ちを受け取る言葉は、「休みたいんだね」のような、オウム返しのほか、「そうか」「そうなんだね」でも充分です。否定的な言葉を避け、ただ話に耳を傾け、感情を受け取ること。そうして子どもに自分を肯定する力が戻るのを支えましょう。
夫婦の意識をあわせておくことも大切です。私が出会った中では、お母様が子どもに寄り添って休ませようとするのに対して、お父様が「行かなければ駄目」というご家庭が少なからずありました。その逆もありました。
そうした場合、子どもは「自分のせいで両親が不仲になった」と感じて、自己否定感情を強め、一層、動けなくなることもあります。
子どもの「将来」を案ずるがあまり、「今」を否定してしまわないように。
無理やり学校に連れて行ったとしても、毎日、長時間の学校生活を送るのは親ではなく、子ども自身だからです。
『不登校という言葉、やめませんか』と以前にこちらの連載で書きましたが、「不登校」という言葉に含まれるネガティブなイメージは、子どもだけでなく、親御さんをも苦しめるものです。
親御さんにとっても「話を聴いてもらう」ことは大切な力になります。同じ悩みを持つ「親の会」や、文末の相談窓口も、ぜひ頼ってください。
学校に行かない理由は、一人一人異なります。「行く子」と「行かない子」を分けることよりも、「その子それぞれにあった学びを、どう守るか」を、学校と家庭、行政、そして福祉、医学、心理の専門家が連携して考える、丁寧な対応が求められています。
・子どもS O Sダイヤル 0120―0−78310(24時間・無料)
・「子どもの人権110番」 0120―007−110(全国共通・無料)
・文科省の相談窓口サイト
岸田雪子さんは、子育てと介護のダブルケアの日常を綴ったブログも更新しています。
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