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イケてるスーツはココが違う

スーツに使われる希少な高級素材や縫製技術は、多少の知識ある人が見ないとわからないものです。しかし素人目にも高級そうに見えるポイントがあります。それはラペルロールです。2つボタンなら上ボタンのすぐ上から、段返りの3つボタンなら真ん中ボタンの上部からラペルが立ち上がっています。この部分がぺったりと折れてしまっていると、見た目に安っぽく見えてしまいます。立ち上がり部分だけでなく、下襟の折り返し部分が首元までふんわりとロールしていると、Vラインに立体感が出てスーツが美しく見えます。

スーツは長く着ていると身体の動きに合わせて繊維が柔らかくなるので、生地も芯地もへたってきます。すると、ラペルの折り返し部分がどうしてもぺしゃんこになってしまいます。狭いクローゼットの中でぎゅうぎゅうに詰め込まれているのも、へたりを早める原因です。ぺしゃんこになったラペルは、平らに伸ばしてからアイロンでプレスすることでロールが立ち、新品時のように甦らせることができます。

高級スーツは、このラペルロールを美しく仕立てるために毛芯やハ刺し(はさし)といった素材や技術を大切に継承しています。ラペルがふんわりと返るように心血を注いでいるわけです。逆に言えば安いスーツでも、この部分が美しくロールしていると、ちょっと高そうに見えますよ。(撮影:石井幸久、執筆:池田 保行)

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