どうにもこうにも忙しく、子育ても家事も妻にまかせきりになってしまっているという父親は多いでしょう。それが当たり前になってしまっては困るのですが、そういう時期があることはしょうがない。ではそんなとき、家の中ではどんなことに気をつければいいでしょうか?
■責任感が強い父親ほど苦しい
毎日朝から深夜まで、いろいろな人に気をつかいながら、大きな責任を背負いながら仕事をするのはそれだけで大変な負担です。本当ならもっと家族と一緒にいてリラックスしたいのはやまやまでしょう。しかもまじめな父親ほど、家族をほっぽらかしにしている罪悪感を強く感じてしまい、自分を責めてしまう。場合によっては自己嫌悪まで感じてしまう。美徳であるはずの責任感が、自分を追いつめることがあるのです。
本当はもう少し肩の力を抜くことができれば理想ではありますが、そういう父親に「責任感を忘れてみましょう」なんていっても、絵空事にしか聞こえません。できもしない正論をぶつけられることは、悩んでいる人にとっては、さらに肩の上に重しを載せられるようなものです。
そこで、その責任感を活かしつつ、超多忙な状態にある父親にぜひ心がけてほしい2つのことを紹介したいと思います。
1. 妻に見通しを伝える
パソコンで、重いデータをダウンロードするようなとき、どれくらいの時間まで待てますか? そこにものすごく影響するのが、ダウンロードの進行状況を表示するインジケーターです。画面に出ますよね。「0%」とか「残り時間5分」とか。あれがないと、いつまで待っていいのかわからずに不安になります。ついつい強制終了ボタンを押したくなってしまったりします。インジケーターがあることで、待てる時間が長くなる効果があります。
それと同じです。超多忙な夫を支える妻は、いつまでそんな状況が続くのかと不安です。ですから忙しいときこそ、その状態がいつまで続きそうなのか、見通しを伝えることが大切です。
たとえば「来月末に大事なプレゼンテーションがあるから、それまでは迷惑かけるけどごめんね」などと。見通しが立てば妻の不安も軽減されます。さらに「家のことしてくれてありがとう」と感謝を伝えたり、「プレゼンテーションが終わったら家族で旅行に行こうか」などと近未来のお楽しみを設定したりすると、待っているほうももっとがんばれます。
2. 子供と交換日記をする
子供が寝静まってから帰宅し、子供が起床する前に家を出て、子供の寝顔しか拝めないという状況が続くこともありますよね。そんな状況では子供の寝顔しか見られないことより、まずは体が心配ではありますが、責任感の強い父親ほど、子供に対する申し訳なさが強まるものです。
そんなときには子供と交換日記をしてみたらいかがでしょう。たくさん書く必要はありません。「今日も元気でいっぱい遊んでね。パパより」みたいなカードやメモ帳を、子供の枕元に置いておくだけで十分です。
文字の読めないお子さんの場合、朝、それを妻に読んでもらうようにしましょう。下手でもいいので、絵を書き添えてあげたりするとさらに喜んでもらえます。文章なしで、絵だけでもいいです。お昼のランチでもらったあめ玉とか、ちょっとしたおみやげを添えてもいいでしょう。
朝起きたとき、「パパがここにいたんだ」「自分のことを思ってくれていたんだ」というようなことが、父親の存在感が、子供にも非言語的に伝わります。その安心感があれば、毎晩寝る前に「明日の朝はどんなお手紙が置いてあるかな。楽しみだな」なんて、父親の存在を感じながら、眠りにつくことができます。物理的にはいっしょにいられなくても、父親の存在感を伝えることはできるのです。ちょっと切ないですけど。
さらに妻に対するのと同じように、「この日になったらいっしょに遊園地行こうね」などと言ってカレンダーにシールでも貼っておくと、子供はその日のことを指折り数えて待ってくれます。それはもはや寂しくてつらい日々ではありません。楽しみに一歩一歩近づいていく日々に変わります。
そうやって、妻に対し、子供に対し、忙しい状況の中でもできるちょっとした思いやりを果たすことで、妻も子供も忙しい父親を支えようという気持ちになってくれます。それが父親にとって大きな力になるでしょう。家族がいるからこそできる最高のエナジーチャージです。その大きな力をもって、仕事を切り盛りし、1日も早く落ち着いた状況を取り戻しましょう。
(執筆:おおた としまさ)
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