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「必」の書き順は、ひとつじゃない?

漢字の「必」。人が書いているのを見ると「あれ? 間違えてない?」と思ったこと、ありませんか? 以下に、3つの書き順を用意してみました。あなたは普段、どの書き順を使っていますか?

必の正しい書き順
どれが正しい書き順なのでしょうか

実は、上の書き順はすべて、辞書に掲載されているものです。「必」という漢字の書き順は、3通り存在するのです。現行の漢字辞書には、基本的に「A」の書き順で掲載されていることが多いです。しかし実際に、大修館書店が刊行している『新漢語林 第二版』など、3つの書き順を掲載している辞書もあります。

■「必」の書き順が3つもあるのはなぜ?

なぜ、こんなことになっているのでしょうか。

小学校で子どもたちに教える書き順は、昭和33年に文部省が作成した「筆順指導の手びき」がもとになっています。しかし、この手引きを作成する際に、作成のメンバーとして招集された書道の大家たちのあいだで、意見が衝突しました。「自分の流派の書き順が取り入れられないなら切腹する」と言い出す方もいたそうで、議論が巻き起こったのです。

■漢字によって複数の書き順を許容

苦肉の策として、完成した手引きの冒頭文に「(手引きに載せなかった書き順を)誤りとはしない」という注釈を載せ、漢字によっては“複数の書き順を許容する”ことになりました。

またその後、手引きにない漢字も続々と教育漢字として採用されたため、昭和52年に書き順のルールはさらに緩められ、「上から下へ」「左から右へ」という大原則のみになりました。現代においても全体の約2割の漢字に、複数の書き順が存在しています。

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