味噌に“高血圧のもと”とか、“塩分の取り過ぎにつながる”といった体に悪そうなイメージがあったのは、過去の話。今は長寿の国、日本の伝統調味料として世界からも注目を浴びる健康食品のひとつです。体に良いとされる栄養分がたっぷりと入っているのは説明するまでもないと思いますが、美白効果のある「遊離リノール酸」や、抗酸化力を高める「メラノイジン」などの成分が入っていることを知っている人はまだまだ少ないのではないでしょうか。
美容に効く成分がたっぷり入った女子の味方「味噌」を家で作ってみるのはいかがでしょう。意外と簡単で思ったよりも楽しい、そんな味噌の作り方をご紹介します。
■材料(仕上がり味噌:およそ4㎏)
・大豆 1.2kg
・米麹 1.3kg
・塩 500g
・種水 1L弱 ※生地がハンバーグぐらいのかたさになるよう調整しながら入れる
(乳酸 2cc*1 / 酵母 4cc*2 / 塩 2.6g+ビタミンB2*3)
*1:原料臭、未熟臭の除去や熟成中の着色の抑制の為
*2:原料臭、未熟臭の除去や芳香の付与、塩なれの促進の為
*3:麹菌の促進や色の冴え、芳香の付与の為
ざっと見て、こんなのどうすればいいの!?と思った人、ここであきらめないで! 米麹はネットで買えます。種水は塩水でも代用可能ですよ。塩水で代用するなら、水1Lに対して食塩2.6g程度の塩水をご用意ください。ちなみに、九州や西日本では麦を使った麦味噌が、愛知近辺では豆を使った豆みそが代表的。京都の白みそは麹の歩合がとても多いため甘みがあります。それぞれの地方によって使用する材料が違うのも味噌の特徴です。
■用意するもの
・ビニール手袋 1組(無くてもよいですが、事前の手洗いを十分に。素手だと手がすべすべになる特典も!)
・大判ビニール 2枚(ごみ袋でもOK)
・味噌の保存容器 (みそかめ、ホーローポット、プラスチック容器などお好みで)
・大きめボウル 数個(寿司桶などでも可)
・圧力鍋もしくは大きな鍋
・サランラップ
■事前の準備
エー、まだあるの!?とあきらめるなかれ! 時間を逆算して水に浸したり、冷めるまで放置する、たったそれだけ。心を大きく持って、事前の準備をすすめましょう。
1. 洗った大豆をたっぷりの水に16時間ほど浸しておきます。
しっかりと浸漬をすることで、蒸し煮の処理が楽になります。
(1.7倍~2倍くらいになります)
2. 1で容積の増えた大豆を圧力鍋で煮ます。10分が目安。
圧力鍋がなくても、蒸し器で蒸したり、大きめの鍋にたっぷり水をいれて柔らかくなるまで煮ればOK。
蒸し器なら2時間程度、鍋で煮る目安は3時間です。
親指と人差し指でつまむと軽くつぶれる程度の柔らかさが目標。
3. 大豆を冷ましておく
40度以上あると麹菌が死んでしまうので要注意。人肌位まで冷ましましょう。
前日に煮て冷ますと、大豆の色が変色してくるので注意。
4. 材料をそれぞれ計量し、ボールなどに取り分けましょう。
■仕込み
いよいよ仕込み工程です! 童心に返って粘土遊びをするように、また日頃のストレスを発散するように、力いっぱい味噌作りを楽しみましょう。
1. 塩切り
あらかじめ計っておいた米麹と塩を混ぜ合わせます。この時手のひらで揉みほぐすようにして全体を均一に。ここでしっかりと混ぜ合わせておかないと後で味にムラが出てしまいます。おいしくな~れと祈りを込めて。
2. 大豆をつぶす
大判のビニール袋に事前の準備で冷ましておいた大豆を入れて潰します。もちろんプチプチを潰すように地道に作業してもいいですが、ここは大胆に上にのってしまいましょう。あまり隅に寄せて踏むとビニールが破れてしまうので気を付けて。足の裏の何とも言えない感触を堪能しましょう。どうしても踏むのに抵抗のある人は、すりこぎなどで潰すと楽ちんです。
3. 混ぜる
1で作った塩切り麹と2で潰した大豆を混ぜ合わせます。種水を初めに3分の1ほど加えて混ぜ、なじんできたら種水をさらに少しづつ加えて、生地を緩くしていくイメージで。だいぶ味噌らしくなってきたのではないでしょうか。
4. 味噌玉を作る
3で綺麗に混ぜ合わせた仕込み味噌を丸めて味噌玉を作ります。大きなおにぎりを作るような感じでしょうか。幼稚園のころに泥団子を作ったのを思い出します。
5. 容器に入れる
4で作った味噌玉を用意した保存容器の中に勢いよく投げつけます。中の空気を抜くためですので遠慮なく投げつけましょう。ハンバーグを焼く前にパンパンやって空気を抜くのと同じ原理ですね。どうしても上手く投げつけられないかたは、最近イラッとした出来事なんかをイメージすると効果的ですが、おいしくなってねの気持ちは忘れずに。
6. 空気と触れないように蓋をする
すべての味噌玉を容器に移し終えたら、上部をへらなどでキレイにならしてサランラップで蓋をします。空気に触れると変色やカビの原因になりますので、しっかりと。
これですべての仕込み工程が終わりました。
■熟成
まだ食べられないの!?なんて声が聞こえてきそうですが、味噌は発酵食品です! 熟成&発酵がおいしさと栄養素のカギ。好みの味噌になるまでしっかり熟成させましょう。白味噌、赤味噌の違いは、麹の歩合も関係ありますが、ほぼこの熟成期間の違いです。熟成期間が短いと白味噌、長いと赤味噌となります。
1. 仕込みを終えてから1か月はなるべく暖かい場所で発酵をすすませましょう。
2. 発酵を促進する一か月が過ぎたら、すずしくて直射日光の当たらない場所に移動して熟成させます。さらに3ヶ月ほど経ったら下の味噌を上に上の味噌を下に混ぜる天地返しをして再度ラップで蓋をして食べごろの時期まで熟成させます。
熟成期間はおよそ1年。熟成が浅い3~5か月位はまだ未熟臭や塩なれが進んでおらず、原料それぞれがまとまってない感じに。1年ほど寝かせると、まろやかさが出て香りもよくなってきます。さらに長く熟成させるほど、色も濃くなり味わいも角が取れていくそう。
毎日何かしらの形で食べているはずの味噌。知っているようで知らなかったこともあるのではないでしょうか。仕込みの楽しさが終わっても、食べる楽しさが続く、そんな風に味噌を手作りすることで、手作りの楽しさと、味噌の素晴らしさを勉強しさらにキレイになれたらいうことなし! 週末を使って簡単にできる味噌作りにチャレンジしてみてはいかがでしょう。
教えてくれた人
百五十年以上の伝統を誇るみそ醸造元
和泉屋商店 阿部さん
http://www.izumikura.com/
準備が面倒!という方には、阿部さんの味噌づくりを体験できるコースがついたこちらも
星のや軽井沢 麹滞在
http://www.hoshinoresort.com/information/release/2015/11/13400.html